中小企業診断士2次試験 事例I〜IIIの解き方【80分の解答プロセスと定番フレームワーク】

試験対策

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事例I〜IIIって、与件文を読んでも何を書けばいいのか分からない…。80分もあっという間に終わっちゃう

こんなギモンに答えます。

さきに結論から言いますと、

この記事の結論

●80分は「設問解釈→与件文マーキング→骨子→記述」の4工程で配分する

●答案は「与件文の言葉+因果」で書く。自分の知識で書き始めない

●事例ごとの定番フレーム:事例I「幸の日も毛深い猫」、事例II「ダナドコ」、事例III「DRINK」

●令和7年度の総解答字数は事例I 520字・II 500字・III 460字。1問100字前後が基本

2次筆記は模範解答が公表されない試験です(協会が公表するのは「出題の趣旨」だけ)。だからこそ「解き方の型」を持っているかどうかで、安定感がまるで変わりますよ。

80分の解答プロセス【4工程】

工程時間の目安やること
①設問解釈5〜8分与件文より先に設問を読み、「何を聞かれているか」「制約条件(○○を踏まえて等)」「解答の型(理由・助言・課題)」をメモ
②与件文マーキング12〜15分強み・弱み・機会・脅威、社長の想い、時系列の変化に印。設問番号を与件文の該当箇所に振る
③骨子づくり15〜20分各設問に「使う与件文の箇所+フレームの要素」を箇条書き。ここで全設問の方向性を確定
④記述35〜40分骨子を文章化。1問あたり7〜8分。見直しは誤字と字数のみ

初受験の人が失敗するのは、②を飛ばしていきなり④を始めるパターン。与件文を読んだ「印象」で書くと、出題者が用意した根拠から外れて点が入りません。③の骨子で全設問の方向を決めてから書き始めるのが、時間切れを防ぐ最大のコツですよ。

骨子の段階で「4問とも与件文の根拠がある」状態にしてから書く。これだけで大外しが激減します

答案の書き方:与件文の言葉+因果

採点者は与件文のキーワードと論理の筋を見ています。合格答案に共通する書き方はこうです。

合格答案の型

与件文の言葉をそのまま使う(自分の言い換えより安全)

●「〜のため、〜することで、〜できる」と因果でつなぐ

●設問の制約(「〜の観点から」「〜以外で」)を必ず守る

●1問100字なら要素2〜3個×因果で構成する

事例別の定番フレームワーク

事例I(組織・人事):「幸の日も毛深い猫」

人事施策5つ+組織施策5つの語呂です。「幸の日も」=採用・配置/能力開発(育成)/評価/報酬/モチベーション「毛深い猫」=権限委譲/部門化/階層/一体感(風土)/ネットワーク(情報共有)。「組織の活性化のために何をすべきか」と聞かれたら、この10項目から与件文に根拠があるものを選びます。

事例II(マーケティング・流通):「ダナドコ」

誰に(ターゲット)/何を(強みを活かした価値)/どのように(施策)/効果の4点セット。助言問題はこの順番で書くだけで、論理が通った答案になります。ターゲットは与件文の「デモグラフィック・ジオグラフィック・サイコグラフィック」の記述から拾うのが定石ですよ。

事例III(生産・技術):「DRINK」+標準化・多能工化

IT・情報活用の改善策はD(データベース化)R(リアルタイム化)I(一元管理)N(ネットワーク化)K(共有化)。生産現場の改善は「標準化・マニュアル化・多能工化・OJT」が定番。事例IIIは「問題点→原因→改善策」の構造が明確なので、与件文の「〜していない」「〜が属人化」を見つけたら、その裏返しが解答になります。

フレームは「思い出す道具」であって「当てはめる型」ではありません。与件文に根拠のない要素を書くと、それは加点されない「一般論」になってしまいます

令和7年度の事例I〜IIIを協会の問題PDFで確認しました【配点と字数】

「1問100字前後が基本」と書きましたが、実際の出題はどうなっているのでしょうか。日本中小企業診断士協会連合会の「試験問題」ページで公開されている令和7年度 第2次試験の問題PDFを読んで、設問ごとの配点と字数を書き出しました(2026年9月11日確認)。

設問配点字数問われた内容
事例I 第1問20点30字×4(計120字)新規事業に進出したときの現状を、SWOTのそれぞれの観点で
事例I 第2問30点150字新規事業で顧客との接点を作るために行った取り組みや工夫
事例I 第3問20点100字採用すべき組織体制とその理由を助言
事例I 第4問30点150字企業理念の再定義と、関係者への浸透のさせ方を助言
事例II 第1問15点150字現状を3C分析の観点で
事例II 第2問25点100字混雑時間と空き時間の偏りを、ターゲット層を意識した価格戦略で解決する方法を助言
事例II 第3問30点150字新たに蓄積すべき顧客情報とその活用法を助言
事例II 第4問30点100字部活生を呼び込むためにWebサイトに載せる動画の内容を助言
事例III 第1問20点60字×2(計120字)強みと弱み
事例III 第2問30点60字×2(計120字)コストダウンのための課題2つと、それぞれの改善策
事例III 第3問20点100字製品在庫をもたずに納期に対応する工程管理の改善策を助言
事例III 第4問30点120字新事業(食品用・医療用の紙パイプ)への参入に必要な社内の取り組みを助言

3事例とも、第1問は「SWOT」「3C」「強みと弱み」の現状分析でした。配点30点の設問は各事例に2問ずつあって、合わせて60点分。第1問で粘りすぎず、配点の大きい設問に時間を残すのがコツですよ

表から分かる3つのこと

第1問は3事例とも現状分析(SWOT・3C・強みと弱み)。配点は15〜20点

配点30点の設問が各事例に2問ずつあり、2問で事例の6割(60点)を占める

●「SWOTそれぞれ30字」「課題2つを各60字」のように、1つの設問で複数の答えを書かせる形式がある。1つの答えに使えるのは30〜60字なので、要素を詰め込みすぎない

練習法:過去問×再現答案×採点

型を体に入れるには、過去問を「解く→採点→書き直す」で回すのが唯一の方法です。採点は受験生の再現答案を分析した『ふぞろいな合格答案』のキーワード採点が定番(使い方は「ふぞろいの使い方」)。自分の文章のクセを直すなら講座の添削も有効で、スタディングの2次コースはAI添削が最大300回使えます(29,700円)。

最初の5年分は時間無制限でOK。型が入ってから80分で解く練習に切り替えると、挫折しにくいですよ!

本番当日のルールと、出題の趣旨が公表される日

令和8年度の第2次試験案内(2026年8月31日掲載)から、事例I〜IIIを解くときに関係するルールを抜き出しました。

項目試験案内に書かれている内容
試験日2026年10月25日(日)
事例I9:40〜11:00(80分・100点)
事例II11:40〜13:00(80分・100点)
事例III14:00〜15:20(80分・100点)
マーカー・色鉛筆使ってよい。ただし解答用紙には使えない(定規も使用可)
筆入れ・筆箱机の上に置けない
途中退室試験開始後30分間と、終了前5分間は退室できない
問題用紙その科目の試験が終わってから持ち帰れる(途中退室のときは持ち帰れない)
合格基準総点数の60%以上で、かつ1科目でも満点の40%未満がないこと
合格発表2027年1月13日(水)、インターネットのみ
出題の趣旨合格発表日の午前中に協会のWebサイトに掲載する予定

この記事で紹介した与件文マーキングは、問題用紙にするものです。試験案内には「マーカー・色鉛筆は解答用紙には使用できません」と書かれているので、色ペンを使う人は答案に触れないように気をつけてくださいね

合否や採点、試験問題の内容についての問い合わせには応じない、とも明記されています。模範解答や採点基準は出ず、公表されるのは出題の趣旨だけ。しかも掲載は合格発表日なので、本番前に使えるのは過去の年度の問題と、再現答案をもとにした教材になります。2次筆記の合格率の推移は「中小企業診断士の難易度」、本番までの計画は「中小企業診断士の勉強スケジュール」でまとめています。

事例I〜IIIで足切りにならないために

●合格基準は4事例の総点数60%(240点)以上、かつ1事例でも40点未満があれば不合格

●得意な事例で稼ぐより、4事例とも40点を確実に超えることを優先する

●苦手な事例ほど過去問の本数を増やし、「設問解釈→マーキング→骨子→記述」の手順を崩さない練習をする

よくある質問

事例I〜IIIはどう解けばいいですか?

与件文から根拠を拾い、設問で聞かれたことに対して因果関係のある形で答えるのが基本です。80分の時間配分を決め、毎回同じ手順で解くことで安定します。

80分の時間配分の目安を教えてください。

この記事では「設問解釈5〜8分→与件文マーキング12〜15分→骨子づくり15〜20分→記述35〜40分」を目安にしています。見直しは誤字と字数の確認だけにとどめ、自分に合う配分を過去問演習で固めてください。

フレームワークは覚えるべきですか?

覚えておくと解答の切り口が安定します。ただしフレームワークに当てはめること自体が目的化すると、与件文から離れた解答になるので注意が必要です。

答案は何文字くらい書くべきですか?

設問ごとに字数が指定されます。指定字数の8割以上を埋めるのが基本で、余白が多いと得点機会を捨てることになります。

事例I〜IIIのうち1つだけ点数が低いとどうなりますか?

令和8年度の第2次試験案内では、合格基準は「筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がないこと」とされています。事例は各100点なので、4事例の合計が240点を超えていても、どれか1つが40点未満なら不合格です。

まとめ 事例I〜IIIの解き方

まとめ

●80分は設問解釈→マーキング→骨子→記述の4工程。骨子で方向を決めてから書く

●答案は与件文の言葉+因果。1問100字なら要素2〜3個

●事例I「幸の日も毛深い猫」、事例II「ダナドコ」、事例III「DRINK」

●過去問を解く→採点→書き直すサイクルで型を定着

事例IVは別物なので「事例IVの攻略法」をどうぞ。全体のスケジュールは「2次試験の対策はいつから?」、令和8年度の変更点は「2次試験の変更点まとめ」で解説しています。

以上、いろなしでした!