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独立しても仕事ってどうやって取るの?営業経験もないし、いきなり社長に飛び込み営業なんて無理だよ…
こんなギモンに答えます。安心してください、独立診断士の仕事は飛び込み営業ではなく「登録と紹介」で始まるのが実態です。
さきに結論から言いますと、
●①商工会・商工会議所の専門家派遣に登録する
●②よろず支援拠点のコーディネーターに応募する
●③都道府県・市区町村・中小機構の専門家登録をする
●④診断士協会の紹介案件・研究会に参加する
●⑤補助金の事業計画策定支援で民間の接点を作る
●⑥顧問契約を取って売上を安定させる
●⑦セミナー講師・執筆で「見つけてもらう」
2026年公表の協会アンケート(回答1,847名)でも、仕事のきっかけの1位は「中小企業支援機関・商工団体等からの紹介」(20.1%)、2位「県協会からの紹介」(15.9%)、3位「相談窓口」(9.5%)でした。つまり公的ルートへの登録が最初の営業活動なんです。順番に見ていきますね。
①商工会・商工会議所の専門家派遣【登録先No.1】
アンケートで専門家登録先の1位(37.1%)。商工会議所の「エキスパートバンク」などに登録すると、会員企業からの相談に専門家として派遣されます。利用企業側は無料〜1回1万円程度の負担で済む制度なので案件が発生しやすく、独立初期の実績づくりに最適です。
単価は公的基準なので高くはありません(アンケートでは公的中心の診断業務が1日約3.9万円)。ただ、ここで信頼を得た企業が後に民間契約になるケースが多いんですよ。
②よろず支援拠点のコーディネーター
国が各都道府県に設置する無料の経営相談所です。コーディネーターは年度ごとに公募されていて、たとえば大阪府の令和8年度公募要領では謝金は日額30,000円(税抜)・週2日程度。週2日で安定収入を確保しながら、残りの日で民間の仕事を育てる、という組み立てができます。

よろず支援拠点は2025年に「10年ぶりの抜本見直し」が報じられ、2026年4月には拠点内に「生産性向上支援センター」が新設されました(下の見出しで解説しています)。公募条件は年度ごとに変わるので、各拠点の最新情報を必ず確認してくださいね
③都道府県・市区町村・中小機構の専門家登録
都道府県(24.9%)、中小機構(16.9%)、市区町村(12.8%)にもそれぞれ専門家登録制度があります。中小機構の「中小企業アドバイザー」は年度ごとの公募制(令和8年度分は2025年11月公告)。事業承継・引継ぎ支援センターの登録専門家も診断士の活躍の場です。

注意:国の「ミラサポ」「中小企業119」の専門家派遣事業は2024年3月末で終了しています。古い独立ノウハウ記事の「ミラサポに登録」はもう使えません
④診断士協会の紹介・研究会
県協会からの紹介は仕事のきっかけ2位(15.9%)。協会には研究会や勉強会が多数あり、先輩診断士から「この案件、手伝える?」と声がかかるのが典型です。入会は任意ですが、独立するなら入会して顔を出すのが鉄則ですよ(費用は「独立開業の手順と費用」参照)。
⑤補助金の事業計画策定支援【2026年の注意点あり】
2026年度も、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(最大9,000万円)、デジタル化・AI導入補助金2026(最大3,200万円)、持続化補助金(最大250万円)など主要補助金が動いています(名称・上限額は2026年8月の執筆時点の情報です。上限額は公募回や申請枠ごとに変わるので、申請前に各事務局の公募要領で確認してください)。経営者にとって「補助金に詳しい診断士」は分かりやすい接点です。
ただし2026年1月施行の行政書士法改正で、報酬を得て申請書類を作成する行為は名目を問わず行政書士の独占と明確化されました(罰則あり)。診断士ができるのは事業計画の策定支援・助言まで。書類の作成・提出は申請者自身(または行政書士)が行う形に線引きしましょう。詳しくは「診断士と相性のいい資格」で解説しています。
⑥顧問契約【食える独立の本丸】
アンケートでは民間中心の診断士の53.5%が顧問契約を持ち、顧問料は月額平均15.09万円・平均6.2社。①〜⑤で出会った経営者に「月1回の経営会議に同席して数字と計画を見る」形で提案するのが王道です。最初の1社が取れると紹介で増えていきますよ。

派遣で会った社長に「月1回、一緒に数字を見ませんか」と提案する。これが一番自然な顧問契約の入口です!
⑦セミナー講師・執筆で「見つけてもらう」
講演・研修は年平均19.3日、執筆は21.8日(アンケート)。単価は民間講演で約11.5万円/日、執筆は400字あたり約1.3万円。収入としてだけでなく、専門分野を名乗る名刺代わりになり、問い合わせや紹介を生みます。ブログ・SNSでの発信も同じ効果がありますよ。
仕事のきっかけを「2位・3位」まで見ると、診断士仲間の紹介が伸びる
冒頭で紹介した「仕事のきっかけ」は1位の回答だけを見た数字でした。連合会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査」(令和8年5月)では、コンサルティング業務をしている1,383名に多いものを最大3つ、順位をつけて答えてもらっています。2位・3位まで並べると、見え方が少し変わります。
| 依頼を受けたきっかけ | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 中小企業支援機関・商工団体等からの紹介 | 20.1% | 16.7% | 7.9% |
| 県協会からの紹介 | 15.9% | 11.8% | 6.5% |
| 相談窓口 | 9.5% | 6.1% | 6.0% |
| 他の中小企業診断士(団体)からの紹介 | 8.7% | 10.9% | 10.6% |
| ユーザー企業からの直接依頼(ウェブサイト・SNS等) | 8.5% | 5.4% | 5.2% |
| 現在や過去の支援企業からの紹介 | 8.2% | 6.3% | 6.4% |
| 金融機関からの紹介 | 6.7% | 7.8% | 4.9% |
| 他資格専門家からの紹介 | 2.7% | 4.8% | 6.1% |
ポイントは、「他の中小企業診断士からの紹介」が3位の回答ではトップになることです。1位に挙げる人は多くないけれど、2つ目・3つ目の仕事の入口として効いている、ということですね。ウェブサイトやSNSからの直接依頼も1位で8.5%あり、発信が「見つけてもらう」手段になっていることもわかります。

診断士仲間は「ライバル」ではなく「紹介元」なんです。研究会で一緒に動いた人から声がかかる、という流れは数字にも出ていますよ
公的中心と民間中心で、顧問契約の中身はここまで違う
同じアンケートで、売上のうち公的業務の割合が「かなり高い」人(514名)と、民間業務の割合が「かなり高い」人(441名)の顧問契約を比べると、次のようになっています。
| 項目 | 公的業務がかなり高い人 | 民間業務がかなり高い人 |
|---|---|---|
| 顧問契約をしている割合 | 20.6% | 53.5% |
| 顧問先の数(平均) | 2.4社 | 6.2社 |
| 1か月に出向く日数(平均) | 1.8日 | 4.6日 |
| 顧問料の月額(平均) | 約7.6万円 | 約15.1万円 |
●独立直後は支援機関・県協会からの紹介で案件と実績をつくる
●研究会や共同案件で診断士仲間とのつながりを増やす(2つ目・3つ目の入口になる)
●出会った経営者に月1回の顧問を提案し、民間の比率を上げていく
●ウェブサイトやSNSで専門分野を発信し、直接依頼の入口もつくっておく
なお、公的業務の割合が高い人は34.9%、民間業務の割合が高い人は31.1%(いずれも「かなり」と「やや」の合計)で、ほぼ半々です。どちらが正解というより、自分がどちらの比率に寄せたいかで動き方が変わります。年間売上の分布は「独立診断士は食える?」で詳しく見ています。
組み合わせ方の目安
●週2日:よろず支援拠点や派遣で固定収入+実績づくり
●週2日:民間の顧問先・補助金計画支援(育てる仕事)
●週1日:セミナー・執筆・発信・協会活動(種まき)
公的で食いつなぎながら民間を育て、顧問契約が5〜6社になったら公的を減らす。これが「食える独立診断士」の標準ルートです。
【2026年の新情報】よろず支援拠点に「生産性向上支援センター」ができた
②で「よろず支援拠点は抜本見直しが報じられている」と書きましたが、その中身が形になりました。中小機構のよろず支援拠点全国本部のサイトによると、2026年4月1日から、全国のよろず支援拠点内に「生産性向上支援センター」が新設されています。
人手不足や「手作業が当たり前になっている」といった現場の課題に対して、生産性向上の専門家が何度でも無料で現場に出向いて伴走する組織、という位置づけです。独立を考えている診断士から見ると、登録・応募できる公的な枠がひとつ増えたということになります。
| 枠 | 内容(2026年9月時点で公表されているもの) |
|---|---|
| コーディネーター | よろず支援拠点の相談対応。従来からある枠で、各県が年度ごとに公募 |
| 生産性向上支援サポーター | 2026年新設の生産性向上支援センター側の枠。各県が随時公募 |
| AIアドバイザー | 令和8年度の登録者一覧が2026年8月28日に公開された |
実際、全国本部サイトの新着情報を2026年9月6日に見ると、茨城県・群馬県・岡山県・宮城県・高知県・奈良県などがコーディネーターや生産性向上支援サポーターを公募中、あるいは直近で公募していたことがわかります。募集は年度はじめにまとめて出るわけではなく、年度の途中でも欠員や増員のたびに出てくるのが実態です。

だから「4月に募集を見逃したから来年まで待ち」ではないんです。全国本部の新着情報を月イチで見るクセをつけておくと、チャンスを拾えますよ
●よろず支援拠点全国本部の新着情報を月1回チェックする(各県の公募がここに集約される)
●締切は「◯月◯日 正午必着」「17時必着」など短く区切られていることが多い。見つけたらその場で要領を読む
●応募資格・謝金・勤務日数は拠点ごとに違うので、必ずその県の公募要領で確認する
●センターはよろず支援拠点の中にあるので、窓口は各県のよろず支援拠点になる
認定経営革新等支援機関の認定は「年に数回」
もうひとつ、公的な看板として効くのが認定経営革新等支援機関です。中小企業庁のページ(中小企業庁の認定経営革新等支援機関ページ)を2026年9月6日に見ると、2026年の認定は2月24日に319機関、4月28日に403機関、6月23日に420機関、8月25日に362機関という形で、2か月おきくらいのペースでまとめて認定されています。
つまり申請してすぐ看板がつくわけではなく、次の認定タイミングまで待つ前提でスケジュールを組む必要があります。制度の中身と診断士の要件は「認定経営革新等支援機関とは」で詳しく書いています。独立の段取り全体は「独立の手順と費用」もあわせてどうぞ。
よくある質問
独立診断士はどうやって仕事を取っていますか?
公的支援機関への登録、専門家派遣事業、研究会や協会経由の紹介、執筆・セミナー、そして民間企業との直接契約が主なルートです。
営業が苦手でも仕事は取れますか?
取れます。公的支援機関の登録や協会の研究会など、営業をしなくても案件が回ってくるルートから始める人が多いです。
最初に登録すべき先はどこですか?
よろず支援拠点や都道府県の支援機関、商工会議所などです。案件の紹介につながるほか、実績づくりにもなります。
単価はどれくらいですか?
公的支援業務は1日あたり約4万円、民間のコンサルティングは1日あたり約11万円が目安です。公的で実績を作り、民間へ広げるのが定石です。
公的機関の公募はいつ出ますか?
年度はじめだけとは限りません。よろず支援拠点全国本部のサイトを2026年9月6日に確認したところ、コーディネーターや生産性向上支援サポーターの公募が、複数の県から年度の途中に出ていました。締切が「正午必着」など短く区切られていることも多いので、全国本部の新着情報を月1回チェックしておくのが確実です。
まとめ 独立診断士の仕事の取り方
●仕事のきっかけは支援機関・協会からの紹介が上位。登録が最初の営業
●公的ルート(商工会議所・よろず・自治体・中小機構)で実績、民間の顧問契約で安定
●補助金支援は2026年法改正の線引き(策定支援まで)を守る
●ミラサポ・中小企業119は終了。最新の制度で動くこと
独立後の収入データは「独立診断士は食える?」、会社員のまま準備するなら「副業診断士から独立する方法」をどうぞ。まだ受験前の方は「通信講座おすすめ比較」から。
以上、いろなしでした!