
中小企業診断士の「理論政策更新研修」って何をするの?どこで受けられて、いくらかかるの?忙しくて研修に行けないときはどうすればいい…?
こんなギモンに答えます。中小企業診断士の登録は5年ごとの更新制で、更新には「研修などの知識補充を5回以上」と「実務30日以上」の2つが必要です。このうち知識補充の中心になるのが、1回4時間の理論政策更新研修です。
この記事では、中小企業庁の手引きと研修機関一覧、日本中小企業診断士協会連合会(以下、連合会)と大塚商会の公式ページ(いずれも2026年10月16日に確認)をもとに、研修の中身・受講料・申込方法・修了証明書の扱い、そして研修のかわりになる論文審査までをまとめます。
さきに結論から言いますと、
●理論政策更新研修は1回4時間。登録の有効期間5年で5回修了するのが更新要件のひとつ
●受講料は連合会(都道府県協会で開催)が6,300円(税込)、大塚商会が6,000円(税込)
●会場だけでなくZoomなどのリモート開催もある。ただしカメラは常時オン・スマホ不可
●遅刻・離席で4時間に満たないとどんな理由でも修了にならない。キャンセルも原則返金なし
●研修に行けない人は論文審査(6,300円・年2回)に合格すれば研修1回分になる
理論政策更新研修とは?更新要件のなかでの位置づけ
中小企業診断士の登録の有効期間は、登録の日から5年間です。続けて登録を維持したい人は、有効期間の開始日から申請日までのあいだに、次の2つの要件を両方満たして更新登録を申請します(中小企業庁「申請・届出の手引き(更新登録申請、再登録申請)」)。
| 要件 | 数え方 | 必要な量 |
|---|---|---|
| 専門知識補充要件 | 理論政策更新(理論政策)研修の修了/論文審査の合格/研修講師として指導、のいずれか | 合計5回以上 |
| 実務要件 | 診断助言業務等への従事/実務補習の受講/実習・実務補習の指導、のいずれか | 合計30日以上 |
理論政策更新研修は、このうち専門知識補充要件を満たすための研修です。連合会は「登録有効期間5年間で5回修了することが必要」と案内していて、1年に1回のペースで受けていけば自然にそろいます。
研修の時間は経済産業省令で4時間以上と決められています。連合会の研修は4時間で、大塚商会の研修は13:00〜17:30(受付12:40〜)と休憩をはさんだ時間割です。

もう一方の「実務30日」のほうが企業内診断士にはハードルが高いんです。研修は申し込めば確実に1回分になるので、ここは毎年コツコツ取っておくのがラクですよ。実務ポイントの貯め方は中小企業診断士の更新要件は?研修5回・実務30日と休止制度で詳しく書いています。
研修のテーマと内容【令和8年度】
連合会の「令和8年度理論政策更新研修の概要」によると、研修は2つのテーマで構成されています。
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| テーマ1(全研修共通) | 「新しい中小企業政策について」 |
| テーマ2(地区ごとに1つ) | ①中小企業の生産性向上支援 ②中小企業の事業承継支援 ③中小企業の伴走支援 ④中小企業のイノベーション活動支援 ⑤中小企業の新事業展開支援 ⑥地域資源を活用した中小企業支援 ⑦新規事業立上期における市場ニーズ把握とターゲット像の深化 |
テーマ2の⑦は、令和7年度の中小企業経営診断シンポジウムで「中小企業庁長官賞」を受賞した内容をもとにしたものと案内されています。テーマ2は開催地区ごとに違うので、毎年ちがう地区・ちがう機関で受けると、そのぶん違うテーマに触れられます。
なお、研修は開催日程に載っていればどの都道府県で受けてもかまいません(連合会FAQ)。リモート開催の回なら、住んでいる地域にかかわらず全国の回から選べます。
どこで受けられる?研修機関と受講料の比較
中小企業庁は「理論政策研修機関、理論政策更新研修機関一覧」(PDF)を公開しています。2026年10月16日時点で掲載されている理論政策更新研修機関は次の5つです。
| 研修機関 | 受講料(税込) | 公式で確認できたこと |
|---|---|---|
| 日本中小企業診断士協会連合会 | 6,300円 | 全国の都道府県協会で開催。会場とリモートあり。ネット受付は受付開始日の午前10時から |
| 大塚商会 | 6,000円 | クレジットカード払いのみ。リピーター割引300円・紹介割引200円(併用不可)。会場とZoom |
| 経営教育総合研究所 | 公式で確認 | 2026年度は会場(例:大阪10月17日)とオンライン(例:10月18日)の回を順次募集 |
| 実践クオリティシステムズ | 公式で確認 | 2001年に民間企業で初めて登録研修機関に。20名程度以上の団体向けの出張研修もあり |
| タスクールPlus | 公式で確認 | 一覧に掲載(研修の詳細は公式サイトで確認) |
受講料は4時間で6,000円台が目安です。5年で5回受けると、連合会なら合計31,500円になります。
また、一覧には中小企業大学校(旭川・仙台・三条・東京・瀬戸・関西・広島・九州・人吉・web校)が「理論政策研修機関」として載っています。中小企業庁の手引きでは要件が「理論政策更新(理論政策)研修」とひとまとめに書かれていて、様式第15も「理論政策更新(理論政策)研修修了証明書」です。

受講料はほぼ横並びなので、選ぶポイントは「日程」と「会場かオンラインか」です。仕事の都合で土日しか空かない人は、複数の機関の日程を見比べると選択肢が一気に増えますよ。
申込から修了までの流れ
連合会の研修はネット申込。登録番号は「6桁」で入力する
連合会の研修は、連合会サイトの「開催日程の照会」で地区・日程・受付期間を確認し、受付期間が始まった日の午前10時からネットで申し込みます(令和8年度から午前9時→10時に変更)。時間になっても「期間外」のままなら、F5キーなどでページを更新するよう案内されています。
ここで注意したいのがログインIDです。2026年6月のオンライン化で診断士の登録番号は7桁になりましたが、連合会の申込システムはこれまでどおり6桁で運用しています(連合会「理論政策更新研修ネット申込の手順」)。
| 登録した時期 | 登録番号の例 | ログインIDとして入力する番号 |
|---|---|---|
| 2026年7月1日までに登録 | 0400001(先頭に0が付いた7桁) | 先頭の0を除いた6桁(400001) |
| 2026年8月3日以降に登録 | 1000001(1から始まる7桁) | 先頭の1を除いた6桁(000001) |
初めて連合会の研修に申し込む人は、ログインに必要な情報が連合会のデータに入っていないことがあります。その場合は、登録証の写真・スキャンかデジタル資格者証(PDF)を添えてメールで登録を依頼する手順が案内されています。7桁化のしくみは中小企業診断士の登録証と登録番号で解説しています。
受講料の支払いとキャンセル
| 項目 | 連合会(都道府県協会) | 大塚商会 |
|---|---|---|
| 支払い方法 | ネット申込後の自動メールで振込口座を案内 | クレジットカードのみ(当日払い・現金不可) |
| 申込締切 | 各回の受付期間内 | 各研修の5営業日前17時 |
| キャンセル | 受講料納入後は原則返金なし(詳細は都道府県協会) | 5営業日前の18時まで受付。それ以降は返金不可。日程変更は不可 |
| 遅刻・離席 | 4時間に満たなければ理由を問わず修了にならない | 遅刻10分超は不可、早退・途中退場の合計10分超は修了証明なし |

「とりあえず申し込んで、行けなかったら別の日に」はできないと思っておいてください。キャンセルしても受講料は戻らないのが基本で、遅刻も厳しく扱われます。
リモート研修で必要なもの
連合会のリモート研修では、ZoomなどのWeb会議システムを使います。公式に案内されている条件は次のとおりです。
●カメラ・マイク機能付きのパソコン等が必要。スマートフォンは不可
●安定したネットワーク環境
●受講確認のため、受講中は常にカメラをオン
●カメラオフや離席で4時間に満たないと修了と認められず、受講料も返金されない
●自分側の接続トラブルは自己責任。復旧が難しい場合は他の回への振替か返金を実施地区の事務局に相談
大塚商会も、オンライン研修はWebカメラ・マイクが使えるPCかiPadで受講し、ながら受講・移動中の受講・長時間のビデオオフは禁止としています。「オンラインなら家事をしながら」は通用しないので、会場に行くのと同じ心構えで参加しましょう。
修了証明書の受け取りと保管【オンライン申請への備え】
更新登録の申請では、修了証明書(様式第15)を5回分以上提出します。2026年6月からはマイナポータルでのオンライン申請が原則になり、証明書はPDFデータで添付します。押印された証明書を自分でPDF化したファイルも有効で、提出様式ごとに1つのPDFにまとめるよう案内されています(中小企業庁の手引き)。
| 研修の形 | 修了証明書を受け取れる時期 |
|---|---|
| 連合会・会場 | 研修当日の終了時(開催日直前の申込は後日郵送) |
| 連合会・リモート | アンケート回答後に郵送。2週間程度 |
| 大塚商会・会場 | 研修終了時(申込日によっては後日郵送) |
| 大塚商会・オンライン | アンケート確認後、1週間程度で郵送(土日祝をはさむと10日程度) |
連合会は修了証明書の電子化(PDF化)を進めていて、時期が決まるまでは従来どおり紙で発行すると案内しています(2026年5月22日のお知らせ)。紙の証明書を受け取ったら、その日のうちにスキャンしてPDFで保存しておくと、5年後の更新で慌てずにすみます。
紛失した場合、連合会は電話で再発行に対応、大塚商会は手数料1,500円で再発行しています。とはいえ、紙の原本は更新登録が終わるまで大切に保管しておきましょう。

有効期限ぎりぎりにリモート研修を受けると、証明書が届くまで2週間かかって申請に間に合わない…ということが起こりえます。5回目は満了日の2か月前までに終わらせるのが安心ですよ。
研修に行けないときは「論文審査」という選択肢
連合会は、研修のかわりに論文審査も実施しています。論文審査に合格すると、理論政策更新研修の修了1回分と同じ要件を満たせます。
| 項目 | 令和8年度の内容(連合会) |
|---|---|
| 第1回 | 申込受付 2026年7月24日〜8月14日/論文提出締切 8月25日(終了) |
| 第2回 | 申込受付 2027年1月5日〜1月25日/論文提出締切 2月5日 |
| テーマ | 必修「新しい中小企業政策の動向」+選択「最近の診断に関する理論及びその応用」((1)生産性向上支援か(2)新事業展開支援のどちらか) |
| 受審料 | 6,300円(税込) |
受審料は研修と同じですが、申込のチャンスは年2回だけで、合格しなければ回数に数えられません。育児や介護、遠方勤務などで4時間の研修に参加しにくい年の「補欠」として使い、基本は研修で確実に回数を積むのが計画しやすいです。大塚商会や実践クオリティシステムズも論文審査を案内しているので、日程が合わない場合は各機関の公式ページも確認してみてください。
5年で5回を取りこぼさないための計画
連合会のFAQには、研修の受け方についての大事なルールがいくつか書かれています。
●前の年に受けられなかった場合は、1年に2回以上受講できる(連合会は毎年の受講を推奨)
●登録を休止中でも受講できる。再開には申請前3年以内に研修5回が必要
●更新の事前案内は国からは来ない。都道府県協会の会員には、原則として期限の1か月程度前に案内が届く
●受講できるのは登録有効期間内の人や、休止中で再開を予定している人など
おすすめは「登録した年度から毎年1回」です。最後の年にまとめて取ろうとすると、日程が合わない・定員で埋まる・証明書の郵送が間に合わない、といったリスクが重なります。
| 年 | 研修 | やること |
|---|---|---|
| 1年目 | 1回 | 登録したら最初の研修を受講。証明書はすぐPDF化して保存 |
| 2年目 | 1回 | テーマ2の違う地区・機関を選ぶと学びの幅が広がる |
| 3年目 | 1回 | 累計3回を確認。実務ポイントの進み具合もあわせてチェック |
| 4年目 | 1回 | 受けられなかった年があれば、この年に2回受けて取り戻す |
| 5年目 | 1回 | 満了日の2か月前までに5回目を修了。約1か月前からオンラインで更新申請 |
更新登録の申請は、有効期間の満了日の約1か月前から満了日まで受け付けられます。満了日までに申請しないと登録は消除されるので、研修5回と実務30日の両方をそろえたうえで、早めに申請しましょう。休止・再登録のルールは中小企業診断士の更新要件は?研修5回・実務30日と休止制度、新規登録の流れは中小企業診断士の登録方法|2次合格から登録証が届くまでにまとめています。実務ポイントを稼ぐ方法としては中小企業診断士の実務補習とは?日程・費用改定・申込の流れや副業診断士から独立する方法も参考になります。

研修は「現役の診断士が最新の政策や支援事例を聞ける場」でもあります。毎年ちがう地区のテーマを受けていくと、ネタ帳が増えていく感覚で楽しめますよ!
よくある質問
理論政策更新研修は5年で何回受ければいいですか?
登録の有効期間5年のあいだに5回です。論文審査の合格や研修講師の経験も1回分として数えられ、合計5回以上あれば専門知識補充要件を満たします。研修は1年に複数回受けることもできます。
理論政策更新研修の受講料はいくらですか?
日本中小企業診断士協会連合会(都道府県協会で開催)の研修は1回6,300円(税込)です。大塚商会は1回6,000円(税込)で、リピーター割引300円・紹介割引200円があります。ほかの機関は各機関の公式ページで確認してください。
オンライン(リモート)で受講できますか?
できます。連合会のリモート研修はZoomなどを使い、カメラとマイク付きのパソコンが必要でスマートフォンは不可です。受講中は常にカメラをオンにする必要があり、カメラオフや離席で4時間に満たないと修了と認められません。
研修の修了証明書はいつもらえますか?
連合会の会場研修は当日の終了時に渡されます(直前の申込は後日郵送)。リモート研修はアンケート回答後に郵送で2週間程度かかります。大塚商会のオンライン研修は1週間程度、土日祝をはさむと10日程度かかります。更新期限が近い人は余裕をもって受講しましょう。
論文審査と研修はどちらがいいですか?
論文審査に合格すると研修1回分と同じ扱いになり、受審料は6,300円(税込)で研修と同じです。ただし申込受付は年2回だけで、令和8年度の第2回は2027年1月5日〜1月25日(論文提出は2月5日まで)です。不合格なら回数に数えられないので、確実に1回分を取りたいなら研修のほうが計画しやすいです。
まとめ 中小企業診断士の理論政策更新研修
理論政策更新研修は、5年ごとの更新に必要な「知識補充5回」を満たすための1回4時間の研修です。受講料は連合会6,300円・大塚商会6,000円が目安で、会場とリモートの両方があります。
ただし、4時間に満たないと理由を問わず修了にならず、キャンセルも原則返金なし。修了証明書はリモートだと郵送に1〜2週間かかります。研修に行けない年は論文審査(年2回)で補えますが、基本は毎年1回ずつ研修で確実に積み上げていきましょう。
●中小企業庁「申請・届出の手引き(更新登録申請、再登録申請)」
●中小企業庁「理論政策研修機関、理論政策更新研修機関一覧」(PDF)
●日本中小企業診断士協会連合会「理論政策更新研修・論文審査」
●日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度理論政策更新研修の概要」
●日本中小企業診断士協会連合会「理論政策更新研修受講に関するFAQ」
※2026年10月16日に確認した内容をもとにしています。日程・受講料・手続きは変わることがあるので、申し込み前に各機関の公式ページで最新の情報を確認してください。
以上、いろなしでした!