中小企業診断士の実務従事ポイントの稼ぎ方|対象業務・証明書の作り方

実務従事ポイントの稼ぎ方 独立・開業

中小企業診断士の更新には実務ポイントが必要って聞いたけど、会社員のままで本当に貯められるの?どんな仕事なら数えてもらえるの…?

こんなギモンに答えます。中小企業診断士の実務従事ポイント(実務要件)は、新規登録で15日以上、更新登録で30日以上、休止からの再開で15日以上が必要です。「貯め方」の全体傾向と阻害要因の統計は中小企業診断士の更新要件は?研修5回・実務30日と休止制度で紹介しているので、この記事では何が対象になる業務・相手なのかと、証明書をどう作ってポイントを数えるのかを中心にまとめます。

さきに結論から言いますと、

この記事の結論

実務従事ポイントが必要なのは新規登録15日以上・更新登録30日以上・休止後の再開15日以上

対象になるのは中小企業者(会社・個人事業主など)・医療法人等・社会福祉法人・NPO法人への診断助言業務か窓口相談業務。学校法人・商工会議所・公益法人などは対象外

よろず支援拠点やミラサポ専門家派遣など国・自治体の委嘱業務も対象。都道府県協会の診断実務従事事業や研究会のグループ診断も定番ルート

証明書は様式18・19・20。1日に2者以上を診断しても1日(1ポイント)、重複日は1者分のみ有効

窓口相談業務は1日5時間以上が1日分。複数日の時間を合算することもできる

この記事は中小企業庁「中小企業診断士の各種申請・届出の手引き及びQ&A」(令和8年6月)と、日本中小企業診断士協会連合会(以下、連合会)の「診断実務従事事業」のページ(いずれも2026年10月18日に確認)をもとに整理しています。

実務従事ポイントは何日必要?新規登録・更新登録・休止後の再開で違う

実務従事ポイントは、登録の場面によって必要な日数が変わります。

場面必要な実務日数対象になるもの
新規登録(2次試験合格者)15日以上実務補習の受講 / 診断助言業務・窓口相談業務への従事
更新登録(5年ごと)30日以上診断助言業務等への従事 / 実務補習の受講 / 実習・実務補習の指導
休止からの再開(業務再開後はじめての更新)15日以上休止前・休止中・再開後に取得した実績すべてが有効

中小企業診断士試験の第2次試験に合格した人は、合格日以降に実務要件(15日以上)を満たしてから登録申請をします。実務補習を1回(15日間コース)受講すればそれだけで満たせますが、診断助言業務や窓口相談業務への従事でも代用できます。実務補習の日程・費用は中小企業診断士の実務補習とは?日程・費用改定・申込の流れにまとめています。

新規登録の15日は『実務補習・実務従事(診断助言・窓口相談)』の3つだけが対象で、実務補習の指導や養成課程の実習指導は更新登録のときしか使えません。登録したばかりの人は、まず実務補習か診断助言・窓口相談のどちらかで15日を確保しましょう。

ポイントの対象になる業務の具体例

中小企業庁の手引きは、実務従事の対象になる業務として次の9つを例示しています。

区分具体例
①自分の事業として行う診断助言診断士が事業として中小企業者に行う経営の診断・助言業務
②国の委嘱による業務ミラサポ専門家派遣事業の診断助言、よろず支援拠点事業の窓口相談など
③都道府県・政令指定市の委嘱中小企業支援センター等が委嘱する診断助言・窓口相談
④中小機構の委嘱(独)中小企業基盤整備機構が委嘱する診断助言・窓口相談
⑤中小企業団体等の委嘱商工会・商工会議所等が委嘱する診断助言・窓口相談
⑥医療法人等への業務医療法人等・社会福祉法人・NPO法人への診断助言・窓口相談(収益事業を行うもの)
⑦海外協力業務JICA等からの委託による海外での診断助言・窓口相談
⑧勤務先への診断経営者の指示で行う自社への診断助言(所属部門のルーティンワークは除く)
⑨取引先への診断金融機関や大企業等に所属し、取引先の中小企業者に行う診断助言

逆に、診断助言と関係のない調査・分析や資料作成、申請書作成のアドバイス、セミナー講師、執筆活動などは対象になりません。

対象になる相手・ならない団体

対象になる相手

株式会社・合名会社・合資会社・合同会社などの会社と個人事業主

中小企業関連法令で定められた団体(事業協同組合など)

医療法人等(医業・歯科医業を主たる事業とする法人)・社会福祉法人・NPO法人のうち、継続的に収益事業を行うもの

対象にならない団体

学校法人・職業訓練法人・宗教法人

商店会・商工会・商工会議所

各種基金・日本赤十字社・独立行政法人・農事組合法人

一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人

中小企業投資育成株式会社・生活協同組合・有限責任事業組合(LLP)

その他の協会・任意団体、特別な法律で設立された組織

商工会議所や公益法人は実務従事の対象外です。「県の公的機関だから対象になるはず」と思い込まず、申請前に対象団体かどうかを確認しておきましょう。

証明書はどう作る?様式18・19・20と「1日1ポイント」の数え方

実務従事の実績は、業務の種類ごとに決まった様式で証明を受けます。

様式使う場面証明する人
様式18(診断助言業務実績証明書)公的機関から派遣された場合/金融機関や大企業等に所属し取引先等を診断した場合実施機関の代表者(支店長・所長等でも可)
様式19(診断助言業務実績証明書)診断士が事業として診断助言した場合/勤務先の経営者の指示で自社を診断した場合診断助言先の中小企業等の代表者(個人事業主は実印・銀行印・認印)
様式20(窓口相談業務従事証明書)国・自治体・支援団体等の窓口相談業務に従事した場合窓口相談業務の実施機関の代表者

診断助言業務(様式18・19)は「1日に2者以上を診断しても1日(1ポイント)」とカウントします。同じ日に複数の証明書を受け取った場合は、どちらか1者分の証明書だけが有効になるため、診断士自身が証明書の記入欄で重複日を除いた日数を記載します。

窓口相談業務(様式20)は1日5時間以上対応した日を1日とカウントします。1日で5時間に届かないときは、複数日の時間を合算できます。

窓口相談業務の合算の例

4月1日(2時間)+4月2日(2時間)+4月10日(2時間)=合計6時間で5時間に到達

→実施日としてカウントされるのは4月10日の1日分

残った1時間を、その後の別の実施日にまわすことはできません

社長本人が自社を診断しても実務の実績にはなりません。同じように、窓口相談を行う機関の代表者が診断士である場合、自分で窓口相談を担当してもポイントにできません。

証明に使う印は、企業なら代表者印(支店長等が雇用管理の責任者なら職印でも可)、個人事業主なら実印・銀行印・認印です。電子印も認められていて、オンライン申請では自分でスキャンしたデータでも有効です。受診企業名は原則として記載が必要で、個人事業主の場合は屋号を書くか、業種を添えて記載します。

会社員診断士がポイントを稼げる代表的な窓口

自分の事業として診断業務を行っていない企業内診断士でも、次のような窓口で実務従事の機会を得られます。

ポイントを稼げる主な窓口

都道府県協会の診断実務従事事業:土日などを使って診断班を編成し、企業へのヒアリング・現場診断・報告会を行う。協会の実務従事事業実施計画への申込みが必要

県協会・研究会が主催する窓口相談:相談窓口やビジネスフェア等のイベント会場での相談対応

よろず支援拠点・ミラサポ専門家派遣:国(中小企業庁等)の委嘱を受けた診断助言・窓口相談業務

中小機構や中小企業団体の委嘱業務:中小企業基盤整備機構、商工会・商工会議所等からの委嘱

勤務先が中小企業の場合:経営者の指示で行う自社への診断助言(所属部門の通常業務は除く)

取引先への診断:金融機関や大企業に所属し、取引先の中小企業者に対して行う診断助言

実際にどの方法で何割の診断士がポイントを取得しているか、取得できていない人の割合や理由は更新要件の記事の連合会アンケートで詳しく紹介しています。あわせて読むと、自分に合った確保のしかたが見えてきます。

海外赴任・JICA派遣での実務従事の扱い

(独)国際協力機構(JICA)等からの委託で行う海外での診断助言業務や窓口相談業務も、実務従事の対象になります。実績証明書は国内の場合と同じ様式18・様式20を使いますが、必ずJICA等から証明を取得する必要があります。

一方で、海外赴任中に国内で診断助言業務ができないことについての猶予措置はありません。更新登録の要件を海外赴任中に満たせない見込みがある場合は、経営診断業務の休止を申請する方法があります。休止制度の詳しい要件は中小企業診断士の更新要件は?研修5回・実務30日と休止制度で解説しています。

よくある質問

実務従事ポイントは何日必要ですか?

場面によって異なります。2次試験合格後の新規登録は15日以上、5年ごとの更新登録は30日以上、業務休止からの再開後はじめての更新登録は15日以上です。

1日に複数の企業を診断したら、ポイントは何日分になりますか?

1日に2者以上を診断しても1日(1ポイント)としてカウントします。同じ日に複数の証明書を受け取った場合は、どちらか1者分の証明書だけが有効です。

窓口相談業務はどうポイントを数えますか?

1日5時間以上対応した日が1日分です。1日で5時間に満たない場合は複数日の時間を合算できますが、合算して5時間に達した日が実施日になり、残った時間を他の日にまわすことはできません。

自分の会社や自分が代表を務める団体での相談対応もポイントになりますか?

なりません。社長本人が自社を診断してもカウントされず、窓口相談を実施する機関の代表者が診断士である場合も、自分でその窓口相談を担当した分はポイントになりません。

証明書に書く企業名は匿名にできますか?

原則として匿名にはできません。実務要件の審査のためだけに使われ、外部に出ることはないため、受診企業名の記載が必要です。個人事業主の場合は屋号を記載するか、業種を添えて記載します。

まとめ 実務従事ポイントの稼ぎ方

実務従事ポイントは、新規登録15日・更新登録30日・休止後の再開15日が必要です。対象になるのは中小企業者や医療法人等・社会福祉法人・NPO法人への診断助言業務か窓口相談業務で、学校法人や商工会議所、公益法人などは対象外です。証明書は様式18・19・20を使い、1日に複数者を診断しても1日(1ポイント)、窓口相談は1日5時間以上でカウントします。

企業内診断士で「機会がない」と悩んでいる人は、都道府県協会の診断実務従事事業やよろず支援拠点・ミラサポなどの委嘱業務に登録しておくのが近道です。取得方法別の割合や、実際にポイントが取れていない人の理由は更新要件の記事でも紹介しています。

以上、いろなしでした!